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2026-05-13

里山の荒廃という課題を、都市と農村のマッチングで循環させる仕組み ── NPO法人くくのちに学ぶ

Takaaki Yoneda
Takaaki YonedaI interview local people working for better environment while working as a software engineer. I also make environment and nature themed board games(also as apps).https://whim-on-vim.com
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里山の荒廃という課題を、都市と農村のマッチングで循環させる仕組み ── NPO法人くくのちに学ぶ

「農業体験とタケノコ掘り2026」

高齢化が進み人口減少や後継者の不足が懸念される里山地域の問題に積極的に取り組まれているNPO法人くくのちが主催するイベント「農業体験とタケノコ掘り2026」に参加してきました。

当日は40名ほどの参加者が集まり、二つのアクティビティが行われました。小さなお子さん連れの家族が多く、土に触れたり虫を見つけたりと、子供たちが楽しそうに走り回っている光景が印象的でした。街中では味わいにくい自然との距離感を、家族で共有できる貴重な機会になっていると感じます。

一つ目は、さつまいも(紅あずま)の苗植え。5cmほどの深さに穴を掘り、苗の向きを揃えて植えていきます。合計100株を皆で手分けして植えました。秋ごろには収穫イベントも予定されているとのことで、植えた苗がどのように育っていくのか、今から楽しみです。

二つ目は、たけのこ掘り。スタッフの方によると、親竹を切らずに放っておくと竹林はどんどん広がり、継続した整備だということでした。緑色をしている竹は若い証拠で、たけのこの成長スピードは驚くほど速い。参加者がたけのこを掘り出していくこの体験そのものが、里山保全に直接つながっているという点が印象的でした。

背景として伺ったのが、里山地域が抱える深刻な課題です。今後10〜15年で人口が2/3にまで減少すると言われています。
昨年、私が個人的に参加したくま共生ハッカソン(ボードゲームアプリPair Bearを制作しました)で聞いたお話では、人の手が入らなくなった山が荒れることで、近年話題になっている熊の市街地への出没にもつながっていると考えられています。
一見遠い問題のように思えるこうした出来事が、実は里山の現状と地続きであることを再認識できました。

小中さんにインタビュー

イベントが終わった後、活動の中心メンバーである小中さんに気になっていた事をインタビューさせて頂きました。

小中真道
Interviewee 小中真道 環境カウンセラー・自然体験活動指導者・石川地域づくりコーディネーター・社会教育士
Takaaki Yoneda
里山の活性化につながるようなイベントになっているかと思いますが、元々はどういった目的があったのでしょうか?
小中真道
スタッフはここ以外の出身の人間です。元々は測量会社の人たちで立ち上げました。というのも、業務で山手の方が荒れているのを認知していたからです。海、川、山を見てきましたが、山が荒れることで川の土砂流出につながり、それが海にも影響を及ぼしていることが分かっていました。そのため、まずは森林環境の整備を始める事が重要と考えたことが始まりです。
Takaaki Yoneda
測量をされている方ならではの視点が始まりなんですね。そこからどのように現在の里山保護に移行して行ったのでしょうか?
小中真道
里山地域では自分たちに必要な物、里山の生活は自分たちに必要な食料や炭など周りの自然環境から調達するといったスタイルなのでそれが自然な形で環境の整備につながっています。昔はエネルギーが木炭でしたから、山の木を取って炭にしてという需要が全国にあって、山手の木材も大事にされていた。でも時代の変化でエネルギー需要が変わると必要なくなって手が入らなくなる。竹林も同じで、需要のあるところは整備されているけど、必要のないところは荒れ放題になってしまう。だからこういうイベントを通じて整備した場所を活用して、維持していくということですね。
Takaaki Yoneda
なるほど。昔といえば私の家の周りも土手や自然がたくさんありましたが徐々にコンクリで固められて蛍が珍しいものになって行ったかのように思います。街中に住んでいる人たちにはこういった体験ができる機会はありがたいですね。
小中真道
そうなんです。街中の人間の課題もあって、自分が小さい頃は金沢市内にも自然に触れ合える場所がいっぱいあったんですけど、最近はなかなかなくて。今の親御さんは子供にそういう経験をさせたいという意欲的な方が多い。中山間には人がいなくて山が荒れ放題になっているけど、街中には子供たちにそういう経験をさせたいけど場所がないわけです。そこがマッチングしているのかなと思います。また青少年の育成の場所として、高校生、大学生も来てくれていて、自分たちの専門をどう役立てられるか、学生のうちから経験することに力を入れている子が多いですね。
Takaaki Yoneda
体験が一方通行ではなく、色々な副次的効果を起こしながら上手く循環している印象があります。モノづくりなどもされているのでしょうか?
小中真道
里山保全してるこの地域のから取れた食材を近隣の方々に加工販売して頂いています。一番長くやっているのは、ここの竹林の竹を炭にする取り組みです。それと田んぼの籾殻を合わせるとコンポストの基材ができる。家庭の生ゴミを入れると堆肥化されるというもので、「段ボールコンポスト」として金沢市の環境局と一緒に十年ほど続けています。里山の資源を使って街中のゴミを減らしている。資源と人とお金が一緒に小さく回っていくサイクルが、ちゃんと作れるんですよね。逆に範囲を広げすぎると資源には限りがあるので回らなくなる。バランスを見ながらやっています。
Takaaki Yoneda
ここまで色々お話を伺っていると、ここの住民の方々自身が自然に環境を守っているような気がしてきました。
小中真道
ここの人たちは農薬を過剰に使うことを嫌がるし、用水路の泥上げもホタルの生息時期が終わってからやるといったことを当たり前にやっている。ツバメが帰ってくる時期や飛び立つ仕草も、教えてもらって初めて知ることがいっぱいあるんですよ。僕らは「インプットしてアウトプットしないと」と考えがちですけど、住んでいる人は自然にずっとそれを知ってやっている。海に近い人がプラスチックを捨てないのと一緒で、原因を間近で見ているからなんですよね。「整うべくして整っている」環境なんだなと気づかされます。
Takaaki Yoneda
我々自身も自然の一部なので、里山での生活が最適解の一つではないかと感じました。インタビューありがとうございました。

感想

東原町以外の里山地域でもこういった活動が広がって行って欲しいと思います。地域毎に解決方法は異なるのかなとは思いますが良い成功例として参考にする事でコアとなるフレームワークが生まれてくる可能性も感じました。
また、活動を経験した方々が火種となって別の地域の活性化につながっていくのではないかと思いました。

イベントでお忙しい中、快くインタビューに応じてくださった小中さん、色々教えてくださったスタッフの皆さん、ありがとうございました。